『浜辺の歌』

詩:林古溪 / 曲:成田為三

あした浜辺をさまよえば
昔のことぞしのばるる
風の音よ雲のさまよ
寄する波も貝の色も

ゆうべ浜辺をもとおれば
昔の人ぞしのばるる
寄する波よ返す波よ
月の色も星のかげも

はやちたちまち波を吹き
赤裳のすそぞぬれひじし
病みし我は すでにいえて
浜の真砂 まなごいまは

■楽曲解説

歌人で作詞家の林古溪が雑誌「音楽」で発表した詩に、東京音楽学校の学生だった成田為三が作曲し、1918年にセノオ楽譜出版社から出版された歌曲。
当時の流行だったウィンナ・ワルツのリズムに乗せて書かれた旋律は、ヨハン・シュトラウス2世のワルツ『芸術家の生涯』との酷似が指摘されている。
1989年「あなたが選ぶ日本のうた・ふるさとのうた」で第10位を獲得し、2007年には「日本の歌百選」に選ばれた。