『花』

詩:武島羽衣 / 曲:瀧廉太郎

春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂(かい)のしづくも 花と散る
ながめを何に たとうべき

見ずやあけぼの 露浴びて
われにもの言う 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳(あおやぎ)を

錦(にしき)おりなす 長堤(ちょうてい)に
くるればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金(せんきん)の
ながめを何に たとうべき

■楽曲解説

瀧廉太郎の組歌『四季』の第1曲「花盛り」として出版されたのち、第3曲「月」と第4曲「雪」に合わせて曲名を「花」に改めた。
ピアノ伴奏付き女声二部合唱で、形式は単純な有節歌曲になっているが、3番それぞれの旋律・伴奏・曲想に少しずつ変化を付けている。